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1OOO人以上の大企業での雇用率が伸びているとはいうものの、雇一用率を達成した大企業は、わずか24.3%に過ぎない。
西ドイツでは大企業ほど雇用率が高いことと比べて、きわだった対照を見せている。
とくに重度障害者の一雇用については、障害についての企業側の見方と、施設や養護学校の考え方に大きなズレがあり、就職を希望しながらも職を得られない障害者は増える一方である。
1982年11月の労働省の調査では、身体障害者を雇一周している事業所(従業員5人以上)の割合はわずか14.6%で、33万4000人の身体障害者が働いていると推計している。
このことは85%の事業所が、まだ障害者を1人も雇用していないということでもある。
統計には現われてこないが、雇用義務のない小企業から大企業に転職した障害者もあり、総雇用数が増えたかどうかは疑問である。
また、1983年の新規採用9102人に対し、離職は7643人、84年は9551人の新規採用に対して6991人が離職と、きわめて離職者が多いことも問題になった。
ILO勧告の誤訳1987年5月21日に聞かれた参院社会労働委員会の席上、社会党の千葉景子議員は、1955年に採択されたILO勧告第99号「障害者の職業更生に関する勧告」の(1)訳文で、日本政府が訳したのは、精神薄弱者と精神障害者を排除するための意図的な誤訳ではないかと追及した。
この誤訳問題は、以前から障害者団体から指摘されており、第二東京弁護士会人権擁護委員会のT弁護士は「日本語訳は誤訳ではなく、改ざんと呼ぶべき作為」と決めつけた。
これに対して日本政府は明確な回答を示していないが、日本の障害者雇用が長い間、身体障害者に限定されてきた遠因になったことは否定できない。
また1983年にILOは「(心身障害者の)職業リハビリテーション及び雇用に関する条約」を採択しているが、これも日本はまだ批准していない。
この間、全日本精神薄弱者育成会など障害者団体は、すべての障害者を対象とする「障害者雇用促進法」の実現をめざして運動を続けていたが、ようやく1987年「障害者の雇用の促進等に関する法律」に改められ、88年4月から施行された。
この改正によって、法の対象が精神障害者を含むすべての障害者に拡大され、精神薄弱者も雇用率算定の対象に加えられた。
同時に法定雇用率も1.6%に引き上げられた。
こうして法制度の上では、ようやく先進国のレベルに到達したが、精神障害、てんかん、あるいは難病などの障害者に対する対策は具体的に示されておらず、今後の動きを注視する必要がある。
雇用率の企業は、常用労働者の1.6%に相当する身体障害者または精神薄弱者の一雇用を義務づけられている。
だが、雇一用率の算定は、常用労働者数を基準にしているため、分母数である常用労働者数を減少させれば、障害者の雇一用を減らすことができる。
例えば、東京・多摩地区にある大企業の例であるが、2万2000人の従業員のうち、常用労働者は正社員の2OOO人とパートタイマーの1部2000人に過ぎず、残りの1万8OOO人のパートタイマーは常用労働者に含まれないため、当然、雇用率算定の基礎にはならない。
この企業の従業員全員が常用労働者であるならば、352名の障害者を雇用しなければならないが、現実には64名を雇用すれば一雇用義務を達成することができる。
新規雇用が期待されるサービス業でも、外食産業などに見られるように、常用以外のパートタイマーが増加しており、法定雇用率が形骸化する恐れがある。
5031万人を超えるパートタイマー、さらに学生アルバイトの増加など、これらの存在を無視しての割当雇用制度は、障害者の排除を正当化しかねない。
特別な配慮はしないで欲しい。
サリドマイド障害のNさんが、M新聞社西部本社に電話交換手として採用されたとき、いちばん憤慨したのが、「休憩時聞を増やさないと疲れるだろう」という、周囲の配慮だった。
足指で電話交換をこなすRさんの願いは「みんなと同じに」だったのである。
「自信は全くなかった。
しかし、何としてでも働きたかった」。
Aさんが手作りの車だ。
車いすに乗って、高崎市にあるY製作所にM社長を訪ねたのは、もう2O年も前のことである。
脳性マヒ、それも歩くこともできないAさんを、なぜかM社長は採用した。
だが、従業員十数名の町工場。
車いすのためのスロープどころか、トイレの改造もできない。
工場ではAさんは車いすから降り、床を這って移動する。
電球のガラスくず、銅線くずがさされば危険だ。
「清潔」。
いつも床を徹底的にきれいにする。
清掃これがY電球での設備投資であり、障害者のための環境整備のすべてであった。
その後、Y電球では障害者従業員が次々と増えていった。
それは障害者のためではなかった。
「健常者より障害者を雇用した方が安心感がある」。
障害者の働く意欲が、競争の激しい町工場を支えてくれた。
それをM社長は肌で知ったからである。
もちろん障害者を受け入れるために、何の配慮もいらないといっているのではない。
障害者の雇用というと必要以上におおげさに考え、あらゆる場合を想定して受入れ体制を考えるため「清潔」がAさんの雇用を可能にした(高崎市のY電球製作所)慎重になりすぎる嫌いがあるのだ。
静岡県の設計会社、T社が国立職業リハビリテーション・センターの修了生を採用したときのことである。
「最初はあちこちにスロープを作らなければと思っていました。
彼がはじめて面接で会社にきたとき、スロープのある所からでなく、車いすで、15センチもある玄関の段差を乗り越えて上がったのを見て、採用してもよいと直感しました」とA総務部長はいっている。
障害者ができる仕事がないとか、設備が整っていないことを、障害者を雇用できない理由にあげている所があるが、こうした例からみると、逃げ口上にすぎない。
(1)重度障害者の雇用残された問題は、重度障害者の雇用だという。
重度障害者の一般企業での雇用は、無理なことなのだろうか。
ニューヨークの郊外にあるA社は、障害者による障害者のための企業の成功例として有名である。
A社が問題にするのは障害の種類や程度ではなく、障害者の意欲である。
どんなに障害が重くとも、意欲さえあれば採用し、企業活動を進め、家電製品、電話器の組立て作業などを行ない成功した。
「保障よりは機会を」と、福祉による保護を返上して、Tになることをモットーにしている。
この精神を導入して企業活動を続けているのが、N社(東京)であり、太陽の家(別府市)である。
N社がスーパーのJと共同出資して宮城県泉市に作った大型書店「S」や、太陽の家が別府市に設立したスーパー「S」は、重度障害者が直接市民と接するサービス業への進出の先駆的試みであった。
現在でも、就職を希望し、求職活動を続けている障害者は7万人以上いると思われる。
このうち公共職業安定所に求職申込みを行なっていながら、就職の機会に恵まれない者は、1987年3月末で5万1000人に達し、5年前より1万5OOO人も増えている。
これら有効求職者の多くが重度障害者あるいは高齢障害者で、職業斡旋が難しいといわれる。
しかし今後、障害の重度化、障害者の高齢化はますます進んでいく。
士口備松下(岡山県)、東京都D(日野市)のように、従業員の大部分が重度障害者、それも車いす使用者という企業も誕生した。
これらの事業主は「何ができないかではなく、何ができるか」という発想の転換が、重度障害者の雇用を可能にするといっている。
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